前回、3列シートの設定のある現在販売している国産車、まで絞りました。
この中からどう選ぶか考察していきたいと思います。
※あくまでも、あまり車に詳しくないけど、どうファミリーカーを選ぼうかといった人の参考になればという趣旨の記事です。
価格で選ぶ
車種ごとの価格帯を示すと下の図のとおりです。
各車種の価格帯の一番上には高級志向や特別仕様車が設定されていることがあり、価格帯の最大額を引き上げている可能性があります。
逆に価格帯の一番下には業務車両を想定したり、見かけ価格を下げるためのオプションレス仕様が設定されていることがあり、価格帯の最小額を引き下げている可能性があります。
実用的なグレードで今回想定するグレードは、価格帯を示す棒グラフのうち赤で記している部分です。
レクサスLX、ぶっちぎってるね
求める実用性とスタイルで選ぶ
今回絞っている車種を種類で大きく分けると、ステーションワゴン、ワンボックス、ミニバン、SUVに分けることができます。
ハッチバック、ツーボックス、RV、クロカン…
分類の仕方はいろいろありますが、ここでは便宜的に、
ステーションワゴン:セダンのルーフを後方のトランクの上まで伸ばして、乗員スペースとラゲッジスペースを一体化したタイプの車種
ワンボックス:エンジンと乗車・積荷スペースが一体化された、ボンネットのないタイプの車種
ミニバン:エンジンと乗車・積荷スペースとは分かれており、居住性を重視し全高が高いタイプの車種
SUV:走破性を重視し最低地上高が高く、大きめの荷室を備えた車種
という分け方にします。
更にミニバンは車種が豊富なため、S・M・Lと3つに細分類します。
これら車格による分類は以下のとおりとなります。
CR-V、エクストレイル、CX-8、アウトランダーはステップワゴンと分類しましたが、ある程度最低地上高も確保されており、積載性も考慮されているということでSUVとして分類されることもありますが、ここではあくまでもランドクルーザーのようなクロカン車のスタイルのものをSUVと分類しました。
求める実用性の観点で言うと、高速度での走りを重視してステーションワゴンを選ぶ、悪路を走る可能性があるのでSUVを選ぶ、パッセンジャーの快適性と多人数乗車を重視してミニバンを選ぶ、といった選び方が考えられます。
また、スタイルの観点で言うと、流線型のボディに惹かれステーションワゴンを選ぶ、迫力あるフェイスが好みでMLクラスミニバンを選ぶ、4駆の高車高が好みでSUVを選ぶ、逆にファミリー感が出るのが嫌でミニバンを選ばない、と言った選び方が考えられます。
サイズで選ぶ
車種ごとのサイズに一覧化したのが下図です。
縦軸を全幅、横軸を全長としています。
自宅の駐車場に停められる大きさかといったことは、そもそも所有できるのかといったことになりますので非常に重要な要素です。
特に子供やお年寄りが乗降するであろう後部座席がヒンジドアの車種の場合、ドアを開けてストレスなく乗降できる広さが確保できるのかも確認する必要があります。
車体幅に加え左右片方につき600mm以上の広さがあれば、ヒンジドアの車種でもある程度余裕をもって乗降ができると言われています。
自宅がマンション等で機械式駐車場の場合は、サイズ制限を設けているのでよく確認する必要があります。
その場合は、全長・全幅だけでなく全高もサイズ制限があると思われるので注意する必要があります。
出先の駐車場の駐車枠は基本的に幅2,500mmの設定です。
車の大型化に伴い、隣との境界が二重線になっている駐車枠が増えており、そういった駐車場であれば全幅が多少大きい車でも乗り降りに困ることは少ないですが、よく出かける先の駐車場の大きさについても確認しておいた方が良いと言えます。
運転のしやすさという観点で言うと、一般的に全長が少々長くなるよりも、全幅が広くなる方が運転が難しくなります。
運転技量に個人差はあるものの、日本の道路では目安として1800mmを超えてくると、日々の運転において、その道は通れるのか、すれ違うことはできるのかと気にすることが多くなりストレスも感じるようになってくると言われています。
普段使用する生活道路が狭かったり、運転に自信のない場合は、全幅が小さい車を選択するに越したことはないですが、積載量や快適性とのトレードオフの関係でもあります。
スライドドアの有無で選ぶ
ファミリー世帯には絶対あったほうがいいスライドドア。
子供やお年寄りの乗り降りに非常に便利なのはもちろん、開口部が大きいのでチャイルドシートへの乗せ降ろしも楽で親としての負担も軽減できますし、大きな荷物も積みやすいです。
また、子供がやりがちな隣の車へのドアパンチも回避できます。
ただ、どうしてもルックス的に受け付けないという方もいるはず。
そこは利便性を採るか、見た目を採るかの二者択一です。
スライドドアの有無について、車種別にまとめたのが下図です。
乗車人数で選ぶ
今回の車種選定は3列シート車を前提としていますが、3列シート車と言っても、3列シートが常時の使用に耐えうるものなのか、それともエマージェンシー的に使用することもできる程度といったものなのか、2つに大別することができます。
常時5人以上の乗車を想定していて3列目シートの使用機械が多いのであればMクラスミニバン、Lクラスミニバンを選ぶ必要があります。
Sクラスミニバン、ステーションワゴンやSUVの3列目はあくまでも座ることが可能といった程度のものが多く、大人が長距離・長時間快適に座るには厳しいです。
乗降も体をかなり縮めてやっと乗れるというものが多いので常時の使用には向きません。
車体の大きなランドクルーザーをもってしても、3列目シートの快適性はMクラスミニバン、Lクラスミニバンに劣ります。
逆に3列目シートはたまにしか使わないというのであれば、ステーションワゴンでもSUVでも、もちろんミニバンでもなんでもいいです。
※ハイエースバンやNV350キャラバンはMクラスミニバンに分類していますが、商用ベースの車両のため、3列目シートの快適性はファミリー使用を前提とした他のM・Lクラスミニバンには劣ると考えられます。
維持費で選ぶ
維持費に影響するのは、燃費、税金、点検・整備代です。
大きく差が出ることが車種ごとの諸元からも判別しやすい、燃料代と自動車税についてのみに単純化して順位付けしたのが下図です。
10年所持して10万キロ走った際の、燃料代と自動車税との所要額で順位付けを行ったものです。
燃料単価は、ハイオクガソリンは\140/L、レギュラーガソリンは\130/L、軽油は\110/Lとしており、自動車税額は2019年10月以降に新車登録された車の基本納付額です。
順位はほぼほぼ公表の燃費順になっていることが伺えます。
但し、燃費が20KM/L前後といい車種はハイブリッド車であり、上記計算の維持費は安くとも車両本体価格は通常のガソリン車に比べて高くなります。
また、\110/Lと安い軽油が使用できる車種も通常のガソリン車よりもディーゼルエンジンが高い分、車両本体価格は高くなるので注意が必要です。
ランドクルーザーとLXが飛びぬけて高い
まぁ維持費を気にして乗るような車ではないがね
販売台数で選ぶ
販売台数はどれだけ支持されているかという結果であると言えます。
そういう意味では「多く売れている車=いい車」とも言え、多く売れている車を購入しておけば大きなハズレはないでしょう。
今回対象としている車種を販売台数順に並べたのが下図です。
ノア/ヴォクシー/エスクァイアとアルファード/ヴェルファイアは同型車種のため、合算した台数としています。
公刊情報として当方で拾えなかった一部車種は推計台数としています。
上位3つはトヨタのS,M,Lクラスミニバンで独占しており、更にその上位3つが全体の50%以上の台数を占めています。
なんともすごい結果です。
メーカーで選ぶ
そもそもメーカーを決めてしまってから車種を選ぶといったこともあるかもしれません。
メーカーごとの特徴をまとめてみました。
あくまでも当方の印象であり、主観が入りまくっていることをご了承ください。
他にも国内メーカーでは、スバル、ダイハツ、いすゞ…などがありますが、今回対象車種が無かったため省いています。
それでヤクトはどう選んだか
今まで挙げた選び方から考えると!?
- 価格で選ぶ → まず当然ですがレクサスLXは外れます。前回、一応4,211,000円以下という目安を設けたので、グランエースやランドクルーザーも外れます。アルファード/ヴェルファイアやエルグランドも価格的には厳しくなってきます。
- 求める実用性とスタイルで選ぶ → 3列目の使用がある程度頻繁、荷物の積載も多いことが想定されるので、ミニバン(S)とステーションワゴンは外れます。SUVも3列目を考えると厳しいか。ワンボックスは商用ベースのため、3列目の乗り心地を考えるとやや劣勢か。
- サイズで選ぶ → やはりLX、グランエース、ランドクルーザーは難しそうです。我が家の駐車場を考えるとアルファード/ヴェルファイアやエルグランドも厳しめです。
- スライドドアの有無で選ぶ → 前車ではチャイルドシートへの子どもの乗せ降ろしに難儀していたので、スライドドアは欲しいところ。となるとやはりミニバンか。
- 維持費で選ぶ → 価格やサイズと同様に、LX、グランエース、ランドクルーザーは外れます。こちらでもアルファード/ヴェルファイアやエルグランドは厳しめです。
- 販売台数で選ぶ → ひねくれ者の私は人と被りすぎるのはあんまり好みではないので、逆に販売台数が多い車種は避けたいと思ってしまいます。大衆車を買おうと思っているのに土台無理な話ではあるのは承知していますが…
- メーカーで選ぶ → 自分は車種が気に入ればメーカーは気にしない質なので、メーカーで除外ということはありません。
これらから総合的に考えると、結局Mクラスミニバンから選ぶことになります。
こんな長々とやってきたのに結局Mクラスミニバンかよ
ある程度多方面から考えてきたつもりですが、やはりファミリーのために作られているミニバンが、結局ファミリーカーには最適ということです。
Mクラスミニバンから選ぶということで、候補としてはトヨタヴォクシー/ノア/エスクァイア、ホンダステップワゴン、オデッセイ、日産セレナ、三菱デリカD:5です。
(セレナのOEMであるスズキランディ、商用車である日産NV200バネットは除外とします)
選定にあたり重視したもう一つの要素
これらMクラスミニバンから一つを選ぶのは非常に難しいところです。
外観、エンジン、積載性、乗降性、シートアレンジ…それぞれ特色はあるところですが、そんな中で決め手となったのはトルクウェイトレシオでした。
運転する際にストレスを感じるのは、出だしが遅い、アクセルを踏んでもなかなか進まないといった点です。
そういう体感をパワーが足りないなんて言ったりしますが、自動車のスペックでは実は”トルク”の値で左右される部分です。
重量に対してのトルクを示したのがトルクウェイトレシオになり、これを比較することでその車がどれくらいキビキビ走れるのかの指標になると言えます。
Mクラスミニバンのトルクウェイトレシオを以下表にまとめました。
トルクウェイトレシオは、値が少ないほど重量に対してのトルクが大きく、キビキビ走るといった指標になります。
これらの中では、一番トルクウェイトレシオが低かったのはデリカD:5、逆に高かったのはヴォクシー(ノア/エスクァイア)となりました。
Mクラスミニバンの中では、ヴォクシー/ノア/エスクァイアは発進時や加速時にもっさりとした印象を受けやすく、デリカD:5は割とキビキビと走ることができるといった印象を受けやすいということになります。
ステップワゴンやオデッセイは走りもある程度重視していることから、トルクウェイトレシオにして5.8前後、セレナは駆動がモーターということでトルクが高い傾向にあり、約5.6という値になっています。
なおハイブリッド車に関しては、走行時にモーターとエンジンとをどのくらいの割合で使用するかは車種ごとに異なり公表されている諸元では読み取れないため、発進時にはモーターによることが想定されるということで、トルクはモーターによる最大トルク値を便宜的に使用しています。
結論
Mクラスミニバンの中から1車種選ぶ際、もちろんトルクウェイトレシオ以外にも比較すべき点はありますが、我が家(私)はトルクウェイトレシオも重視して車種選定を行いました。
その結果、デリカD:5に決定したところです。
デリカD:5が他のミニバンに比べてトルクウェイトレシオが低いのは、太いトルクを生み出すディーゼルエンジンを搭載しているが故ですが、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンとは乗り味も変わってくるので、人によっては受け入れられないという場合もあるかもしれません。
やはり車に求めるものは人それぞれですので、上記に挙げたような色々な観点で比較し、決して安い買い物ではないので後悔しないように、ちょっとでもこの記事が役に立てば幸いです。